*** 落書きⅫ ***

*** 群青色の春 ***

スクランブル交差点 点滅する青信号

そんな時 君を見つけた

変わらないね 長い髪 凛とした唇

 

怒気を孕んだクラクションコール

赤に変わった歩行者信号

だからもう ぼくは振り向かない 

ただ 誰にも気づかれないように

ひとつだけ そっと溜息ついた

 

群青色の春 遅過ぎた出逢い

 

揺らめいて ときめいて

ざわついて それでいて…

君に欺かれた あの夜

春雷豪雨 桜散る

 

スクランブル交差点 点滅する青信号

そんな時 君を見つけた

群青色の春 遅過ぎた出逢い

 

 

( 2020年の作品 )

*** 他界 ***

昨日まで 一緒に笑った
昨日まで 隣に座ってた
あの人が 今日は もういない
戻り道もわからないまま
出かけるのはよせと
あれほど言ったのに…
( 1978年の作品 )

*** 獣人(じゅうにん)伝説 ***

四つ足で歩く人間がいる
昔の伝統を守るのだと…
じっと 待っている
尻尾の生えてくるのを…

その傍らを 二本足の
犬が歩いていく

どこで間違えたのだろうか
マークシートは塗りつぶした筈なのに
( 1978年の作品 )

*** 卑怯者 ***

失敗してもいいからやってごらんて
笑みを浮かべながら言っておいて
失敗すると
やっぱり怒るのが 大人というものさ
また やられちまったナ…
( 1978年の作品 )

*** リバイバル ***

自分の住む土地を
振り返れもしない日本人が
リバイバルなどと
よく言えたものだ
思い出話が 好きなくせに
その思い出には 横文字ばかり…
( 1979年の作品 )

*** 喫煙室 ***

煙草の吸殻を
足で揉み消す人の気が知れない
きっと邪な二本線が 
手首に浮かび上がってることだろう
そういう人が
自分の失敗も省みず揉み消し 
時には人に擦り付ける

こういう人の為に
喫煙室がある
そして灰皿がある
落ち着かなきゃ 全てダメだ
 
(1979年の作品」

*** 逆転の構図 ***

かわいそうな子どもたち
親たちに 遊び場を奪われ
親たちに 自由を奪われ
うずくまる 子どもたち

悪戯を非難され、
おもちゃを隠され…

親たちは今日も遊園地
子どもはじっと新聞を読む
 
(1978年の作品)

*** まちぼうけ ***

あなたはとうとう来なかった
わたしは寒い北風の
吹き付ける中で
あなたを待ってたのに
私に日差した木洩れ陽も
今は枯れ葉にうずくまる
帰っちゃおうかな
私一人の待ちぼうけ
昨日あんなに指切りして
あなたは約束したのに
どうしてあなたは
来てくれなかったの
短い冬の夕暮れに
枯れ葉が一枚 また落ちた
帰っちゃおうかな
私一人の待ちぼうけ
あなたの微笑みを
見ていたかった
なのに夕暮れ 一人きり
帰っちゃおうかな
私一人の待ちぼうけ
( 1976年の作品 )

*** 邪正 ***

世の中 正義が
勝てなくなりました
ウルトラマンも怪獣に
負けるようになりました
誰がそんな相手に
好き好んで
立ち向かうでしょうか
だから…
だからこぞって皆
妥協するんです
( 1979年の作品 )